Re:スタート
「まあ、あれよ」

「……」

「運命っていうのは必然だと思うんだよな。だから、お前と佳奈ちゃんが運命で結ばれているんだとしたら、出会うべくしてまた出会えるだろ」

「……」

「そのためには努力したり行動しなきゃ、現状なにも変わらないけどな」



まあ、頑張れよ。

そう言って先輩は俺の背中をバシンッと叩いてカウンター席の方向へ歩いて行った。

先輩の言葉が頭の中をぐるぐると回る。


運命は必然。

出会うべくして出会う。

行動しなければ現状は変わらない……。


……なんだ、簡単なことじゃないか。

俺はひとり、苦笑する。

佳奈への未練が断ち切れないんだったら、断ち切らなくてもいいのかもしれない。

その未練を糧にして、俺は曲を作る。

努力して、ひたすら努力して、夢を掴みたい。

その先に佳奈がいなくとも、有名になった俺の曲を、佳奈がどこかで聞いてくれていたら嬉しい。

今はそのために頑張ろう。
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