Re:スタート
「悠さんと別れたって、なにがあったの?」



瑠奈はソファの下のカーペットに腰を下ろした。

ローテーブルの上には2つ並んだマグカップ。

悠とお揃いのピンク色と水色のマグカップが頭の中をよぎった。

そんな思い出を振り払い、瑠奈に先ほどの出来事を話す。



「……私が、別れようって言ったの」

「佳奈から言ったの? なんで?」

「私と一緒にいたら、悠は夢を叶えられないと思うから……」



顔をこちらに向けて、理解ができないというような表情を浮かべる瑠奈。

私はそんな瑠奈に苦笑する。

それから、今まで溜め込んできたものを吐き出すかのように話した。



「悠には歌手になるっていう夢があって。そのために仕事を掛け持ちしたりしているんだけど、」

「うん」

「……私より、夢や仕事のほうが大事なのかなって、ときどき思っちゃうんだ」



悠にとって一番大事なものは夢や仕事。

いつの日かそう考えるようになってしまった私がいた。

本当は、悠にとっての大事なものに順位をつけることはしたくない。

そんな考えをしたくないのに、考えてしまう自分が嫌いになった。

そんな私の気持ちが、悠の夢を邪魔していると思った。


それに。
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