Re:スタート
「部屋、暗いなぁ……」



部屋を見渡せば、どんよりとしていた。

窓から見える空が曇っているというのもあるけれど、それでも部屋の空気が重く感じる。

オーディションのプレッシャーも相まって、空気も気持ちも重たい。


明日がオーディションだというのに。

応募した日はワクワクしたのに、今は全くワクワクしない。

むしろ鉛のようなものに押しつぶされそうだ。



「はあ……」



しんどい。

こんなんで明日は大丈夫だろうか。

応援してくれる人もいない。

自分の気持ちも盛り上がらない。

どうしたらいいんだろう……。


俺はなんとなく、重い腰をベッドから持ち上げた。

どこに行くわけでもない。

だけど、この部屋でじっとしている気にもなれず、俺は立ち上がって玄関に向かった。


お腹も減ったし、せっかく外に出るならコンビニでも行くかぁ。

そう思って玄関で靴を履いていると、靴箱の上に埃かぶった茶色のなにかを見つけた。


靴を履き終わり立ち上がる。

埃かぶったものを見ると、それは伏せたままの写真立てだった。
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