Re:スタート
夕飯を一緒に食べていても、料理が美味しいと感じることが少なくなった。

悠と一緒にご飯を食べているときは、どんなに質素な料理でも美味しく感じたのに。

段々と会話がなくなっていけばいくほど、せっかく作った料理も味がしなくなった。


『今日の夕飯、美味しい?』と聞いても、素っ気ない返事。

だから、料理を作ることも怖くなっていった。

最初の頃こそ『悠に私の手料理を食べて欲しい』なんて思っていたけれど、最近は悠の素っ気ない反応を見ることが怖くて、料理は作るものの、会話を求めることがなくなった。



「すれ違いばかりの生活が寂しかった。もっと、悠に私を見て欲しかった」

「……」

「私がワガママを言ってしまえば、悠は優しいからっ。きっと夢より私を優先しちゃう……っ。だから私は、悠の夢の邪魔をしてしまうかもって。そしたら怖くなったの……っ!」



私は手で顔を覆った。

溢れる涙が止まらなかったから。


ティッシュを取って渡してくれる瑠奈。

受け取ったティッシュで涙を拭くけれど、そのティッシュは涙ですぐにボロボロになってしまった。
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