Re:スタート
「坂本さん! 今日はよろしくお願いします!」



私は大きな声で挨拶をする。

声、大きすぎちゃったかな……、と一人反省していると、坂本さんはきれいに笑った。



「そのくらいの元気が今回のイベントには大切よ。今日はよろしくね」

「……はいっ!」



緊張で空回りしていないか。

私の印象は悪くなかったか。

仕事を早く覚えなきゃ。

今から仕事がスタートする。


そう思ったら、急にそんな感情が浮かんできた。

前職の恐怖がまだどこかに残っているのだろうか。

体が震えることはないけど、なんとなく不安だ。


そんな私を連れて、坂本さんはライブハウスの扉を引き、中に入っていく。

そのあとを慌てて追う私。

ライブハウスに足を踏み入れる。


その瞬間、見える景色が鮮やかになったような気がした。


受付場所の周りで手に持っている資料を確認しながら動き回るスタッフさんたち。

ベテランさんだろうか。

テキパキと動きが速い。

スタッフ同士のコミュニケーションも主に仕事の話がメインなんだろうけど、誰もが真剣で、だけど笑顔もある。

活気がある職場。

そんな感じがした。
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