Re:スタート
「そろそろ9時半ね。外で待っている来場者に整理券を配ってくれるかしら?」

「はいっ! 行ってきます!」



整理券が置かれている場所は受付のカウンター上。

私は整理券を持ち、ライブハウスの外に出た。


外は日差しが強くて、一瞬眩しさにやられそうになった。

目が慣れてくると、来場者の数の多さに驚く。

散らばってはいるが、ざっと数えて50人は超えている。

カップルや友人、家族連れなどが多い。


私は来場者の話し声に負けないような大きな声を出した。



「整理券をお配りしますーっ! 順番に配りますので、一列になってお待ちください!」



私がそういうと、来てくれた人たちは列を作ってくれた。

順番に整理券を配る。



「ありがとうございます! 後程、お待ちしております!」



私はひとりひとりに頭を下げながら整理券を渡していった。

人と関わることがこんなにも楽しいなんて思わなった。

私が整理券を渡すたびに、ほとんどのお客さんが『ありがとうございます』って言ってくれる。

私はただ、整理券を配っているだけなのに。

それなのに『ありがとう』って言ってくれることが、本当に嬉しくて涙がこぼれそうだった。


こんな経験、人生で初めてだ。
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