掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
ところが、しんと静まった庭に出ると、声が聞こえてきたのだ。

拓郎の声?

誰かと話してる?

「……それくらいこっちだって見えてるよ。昨日も…ああ……この時間ならまだ暗いし、都会の空を舐められちゃ困る
…………ハハハ、うん…」

誰だろう?
“都会の空”って言った。
ということは大学のお友達かな……。

「……悪い。今日は帰るから。
……うん。昼過ぎに仙台空港に着く」

『帰る』……そうだよね、拓郎はもう生活のベースがあっちなんだ。

寂しいと思った。
でもきっとそれが普通なんだ。

「……いいよ。この時間まで観測してたんだろう? 迎えには来るな。運転危ないだろう?
……夏美、心配なんだ。うちにいてくれ」

ナツミ……うち……?

「それに、今夜は寝かせないから…」

……!!

「……あぁ、今のうちに寝ておけ」

これって……女の人よね?
ナツミさん……。

「……確かに同級生にも幼馴染にも会ったよ」

幼馴染……。

「でもそれだけだ。なんにもないよ。
夏美とは別だろ? 俺はお前と星を眺めていたい。夏美のそばで見たいんだ。
……3日会ってない。
今日は覚悟しとけよ」
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