掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜

凍てつく公園

夜明けまで少しある。

どこに行こうか……。

真っ先に浮かんだ行き先を、私は咄嗟に否定した。……ダメだ、甘えちゃ……。

姉のところは?
姉は昨日から恋人の京くんのところに泊まりに行っている。

でも恋人たちの夜明けを邪魔するなんて出来ないよね……。

美由紀は実家だし……。

そして、やはり最初の選択肢に戻ってしまう。

淳之介……。

淳之介は大学入学と同時に一人暮らしを始めていた。優しい淳之介なら、きっとこの時間でも話を聞いてくれる。

でも行ってもいいのだろうか…

ダメダメ。
いつも頼ってばかりで、申し訳ない。
やっぱり、夜が明けるまで駅の近くの公園に行こう。

私は、少し遠い駅まで歩いていくことにした。

駅の裏の公園には、街灯と、24時間開いているコンビニの光があり、ホッと落ち着く場所ではあった。

でもこの寒さだ。公園のベンチは凍結していた。

「これは座れないや…」

ただ凍結していて座れないだけの事なのに、世界中の何もかもに否定されたような気分になる。

やるせない。
寂しくて、切なくて、哀しくて…
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