掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「……うっ」

本当に限界…
ずっと、ずっと好きだった。
拓郎だけを見てきた。

でももう拓郎の目に、幼馴染以外の存在として映ることはないんだ。

「…うっ……うぅっ…」

涙が次から次へと溢れてきて止めることが出来ない。

泣いて、泣いて……今聞いた事、全部なかったことに出来たらいいのに。

拓郎に、大切な人がいた。
拓郎に、一緒に観測してくれる人がいた。
星を観る時いつも傍に居るのは私だったのに!


どれだけその場で泣いただろうか……。

不思議なくらいに涙が枯れなくて、飽きもせず私は涙を流し続けていた。

いつの間にか空からはふわふわした白い雪が舞い始めていた。

ポケットに入れていたスマホが鳴った。
アラームだ。
いつもセットしている6時10分の知らせだった。
今日は祝日なのに、切り忘れていたな……。
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