掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
ここは学園の最寄り駅から1つ離れた駅。
淳之介のマンションの近くだ。

祝日とはいえ、学園の最寄り駅はあまりに知人が多い。
だからここまで歩いてきたのだ。

『何があった!?』

「……うっ……じゅ、くん……」

『環!? どこだ? 今どこにいる!?』

「……こうえん……」

『すぐに行く。そこで待ってろ!』

淳之介はそう言ったまま、電話を切る事はなかった。
電話からは、ただ淳之介の息遣いだけが聞こえる。
3分もしないうちに、淳之介が現れた。
まだ寝起きのメガネ姿で、頭もボサボサのままだった。

「環っ!!」

「淳くん……」

大きな透明の傘が私を覆う。
まだ薄暗い公園の街灯の下。
暗くても多分淳之介にはわかってしまう。
……ずっと泣いていたことを……。

「お前、こんなに冷たくなって!
一体いつからここに…」

私の頬に手をやる淳之介

「……」

「……ずっとここで泣いてたのか?」

「……」

「とにかく、身体が冷えきってる。
うちに来い」
< 105 / 278 >

この作品をシェア

pagetop