掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「ああ、主催の前田先生の都合が悪くて。
前田先生抜きでも出来たんだけど、せっかくなら校長たちはゆっくり家飲みでもしようかって。久しぶりだからな」

「あら、いいわね」

『校長たち』っていうのは中学部の校長と、私の伯父である小学部の校長のことだ。
校長たちも学園の同窓生で同期なので、とても仲がいい。

教師という仕事は、意外なくらい顔が知られている。

こちらが知らなくても、子供たちや保護者は、名前から経歴まで全てを知っていて、どこに出ても目立つのだ。

というのも、それは私の経験談。

私の母親は、この学園の幼稚園教諭を長年やってきた。
そのため、母と外出すると、いつもかなりの数の生徒、保護者、卒業生に声をかけられてきた。

だからその大変さは、身をもって知っているのだ。

これってきっと、芸能人のようなものなんだろうな……と、幼いながらにも思ったものだ。

そういうわけで校長達がゆっくり外食出来ないのはよく分かる。
安心して話が出来る会員制のBARか、自宅で飲むのが一番だ。
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