掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「淳くん……」

「あ、出たのか」

俺のジャージがブカブカなのか、指の先しか見えない。裾は二重に折っている。

可愛い……。

……いや、何を考えてるんだ。

「……髪、乾かしてないじゃないか」

「ドライヤー、わからなくて……」

ああ、引き出しの1番上だと伝えるのを忘れてたな。

「持ってくるよ」

おずおずと躊躇っている環をヤギボーに座らせ、俺はドライヤーを持ってきた。

弟妹が小さい時から髪を乾かすのは俺の役割だったから、環の髪も乾かしてやるつもりでいた。

「え? 淳くん自分でできるよ? 」

「いいから。 あっち向いて」

雪に濡れて雫が落ちていた髪が、今は洗われ、俺が使っているシャンプーの匂いがする。

ドキッとした。

環が心配なのに、今のこの状況はマズイ…

「……淳くん?」

「あ、ああ。悪い……乾かすぞ。熱かったら言え」

「ん……」
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