掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
落ち着け。
傷ついている環に邪な気持ちを持つなんて、人間として最低だ。

環の髪は、思っていたより柔らかく細かった。
いつも艶のあるストレートの髪だからもっと硬そうなイメージがあったのだ。

突然、環の頭がかくんと前に倒れた。
え、寝てる?

「環?」

「……ん」

「もうちょっとで乾かし終わるから、まだ寝るな」

「……」

昨日は寝ていないのだろうか…

あの時間に1駅先の公園にいたんだ。
寝てない可能性はある。

いや、そもそもいつ家を出たんだ?

聞かなければいけないことが沢山あるのに、当の本人はほぼ意識がない。

髪を乾かし終え、環をベットに誘導するが、ヤギボーに深く沈んだままだ。

仕方ない。
俺は環を抱き上げ、ベッドまで運んだ。

意識のない環をそっとベッドに下ろす。

すると環が少しだけ目を開けた。
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