掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「やっぱり後で聞く。今は寝ろ。
ここは環が好きに使ってくれていいから」

「淳くん、どこかにいくの?
あ……」

『空港に行くの?』と聞きたかったのだろう。

「……コンビニに行くくらいだ。
今日はとくに何もないから。
……環は心配しなくていい」

「でも、淳くん、空…」

「いいから。俺はどこにも行かないよ。リビングにいる。ここで休め」

弟妹にするように頭を撫でてやる

「淳くん……」

「な? 今は何も考えずに寝ろ。
顔色が悪いよ」

「淳くん、淳くん、…………うっ…うっ」

「え、ちょっ……ちょっと待てっ!
なんでまた泣くんだよ」

俺、何かしたか?
あっ、頭を撫でたらダメだったか??

俺が泣かせてしまったのかと焦る。

「…………拓郎……大切な人がいるみたい……」

泣きじゃくりながら、やっとその言葉を絞り出す。
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