掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「私は、今夜は寝かさない、覚悟しとけって言ってもらえるよう女じゃない」

「なっ……」

なんだそれ?
ひょっとして、立ち聞きした時に拓郎が言ったのか?
ア、アイツ~!!

「淳くんは、寝ろ寝ろって言う」

「そ、それは違うだろう?」

「やっぱり私は…」

「ああーっ、もう!」

俺は体を起こし、環に覆いかぶさった。
そして唇に触れるだけのキスをする。

「これでいいか?
……こっちは優しい兄を演じようと我慢しているんだ。とっとと寝ろ!」

「淳くん?」

突然、何が起きたかわからないと言った顔をしている。

俺は聖人君子なんかじゃない。
ずっと好きだった女の子を、自分のベッドで抱きしめているんだ。
どれだけ自制しているか……。

それなのに環は全くわかっていない。
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