掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「ねぇ、それより!
拓郎が帰ってくるんだって? 」

「え?」

「あれ? まだ聞いてなかった? 」

「……それ、どこ情報? 」

「お母さん。真野のおば様にさっき会って聞いたって」

実家からの情報だったら確実じゃない。

「いつ?」

「そこまでは……連絡ないの?」

「ないよ。
もう、誕生日に星の写真が送られてくるくらいなの」

「そう…」

淳之介は知っているのだろうか。
あの日から、拓郎の話は避けてきた。

……いや、違う。思い出した!

先週聞かれたじゃない。
あれは、拓郎が帰ってくることを知っていたから?

未来科学館のポスターを見たからだと思ってた。

「淳くんは? 何も言ってなかったの?」

「……そう言えば、先週の金曜日に聞かれたかも」

「なんて?」

「『拓郎から連絡あるの?』って」

「なるほど……
じゃあきっと知ってるね。
……でも、帰ってきたとしても、何も変わらないでしょう?」

姉は全てを知っている。

私が拓郎を好きだったこと。
拓郎に好きな人が出来たこと。
そして私と淳之介の関係……。

学生時代、淳之介のマンションに泊まる時は、全て姉の協力の下だったから、当然と言えば当然なのだ。

それに、淳之介のことを美由紀に話せなかったから、相談できる相手は姉しかいなかった。
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