掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「二人が付き合ってるの知らなかったけど、淳くんならきっと大喜びだろうね。
彼はいいお父さんになるわ」

「え?……メグちゃん、淳くんのこと知ってるの?」

「当たり前じゃない。
私もカトリック信者なんだけど?
環ちゃん忘れてない?」

あ、そうだった。
母方は皆カトリック信者だったわ…

「淳くんとは学年が離れているけど、クリスマスミサでは毎年顔を合わせていたし、ここの職員になってからはよく話すわよ?」

「そっか…」

「本当にいい子よね、淳くん」

「ええ、ええ、ランサークルでもいつもうちの娘に声をかけてくれて。
優しい先生だわ〜」

「……ありがとうございます!」

いい人
優しい先生

ともすれば“地味な人”と思われがちなフレーズだ。
でも私は今、心から嬉しいと思う。
この二人がそのままの意味で言ってくれているのがわかるから…
淳之介を誇らしいと思う。

「環ちゃん、妊娠検査薬はかなり正確だから、確定で間違いないと思うんだけど、ちゃんと病院で診てもらってね。
ただ、まだ遅れて1週間なら心音の確認は微妙ね」

「心音?」

「そうね。母子手帳がもらえるのも心音を確認してからなのよ。赤ちゃんの心臓の音ね。
6週目くらいだったかしら?
メグ先生の方がお子さんが小さいし、最近のことだからよく覚えてるわよね?」

「そうですね。一般的には6週目です。
ただ5週でももしかしたら…
環ちゃんの研修日っていつ?」

「土曜日よ。
学童に合わせているから…」

「ああ、じゃあ土曜日の午前中に行くのがベストね!
そこまで待てば心音の確認もできると思うわ」

「わ、わかった…」

正直、心音の意味はわかったけど、何週目か、という数え方はよくわからなかった。


ただ、研修日にしか病院に行けないのは事実なので、今週の土曜日に行ってみようと思う。





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