掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「環、今、好きな人はいる?」

「え」

唐突だな…

「環、もう拓郎のことは想ってないのよね?」

「……うん」

「じゃあ淳くんは?」

「え」

「淳くんにも聞いたけど、なんかはぐらかされてしまうから」

「……」

そりゃ……美由紀には、言い難いだろう…

「ねぇ、淳くんがずーっと環を好きって知ってた?」

「へ?」

「……まさか、まだ気づいていないの?」

「え、いや、その………え?」

「ちょっとは気づいてた?」

「ずっとっていうのはちょっと……
で、でも最近は…」

「最近じゃないよ?
ねぇ、杉山くんのこと、覚えてる?」

「杉山くん? もちろん」

「あれはね、文化祭の時だった。
淳くんも拓郎もいたから私達が高1の時だね。淳くんと二人で陸上部のテントに来てくれたの覚えてる?」

「うん。美由紀がへそ出ししてラムネを売っていた時よね?」

「もうっ! それは言わないで。
あれはほら、若気の至り?
でもグラウンドで走っている時よりはまともな格好だったんだよ?
それなのに淳くんったら、いつもお説教……って、そこじゃなくって!」

「うん」

「その……淳くんが私の事、お説教しだしたところまでは覚えてる?」

「覚えてるよ」

「その時、氷担当だった杉山くんが裏から出てきて、環と話し出したの」
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