掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
もちろん全部覚えている。
あれから……8年か。

でもあの時のことは今でもはっきり思い出せる。

嫌なこともあった気がするけど、今でもあの年の文化祭は、私の中でキラキラ光る思い出なのだ。

拓郎の夢を淳之介と二人で支えて、実現させたプラネタリウム。
淳くんが沢山慰めてくれた屋上。
1時間もなかったけど、3人で文化祭を回れたこと、全部心の中でキラキラ光っている。
きっとこれは一生ものの光…

「あの時ね、杉山くんが環の手を握ったじゃない。
アレ……淳くん、すっごい目で睨んでたの」

「……はい?」

「お説教がうるさくて、目を逸らして話半分に聞いていたからさ、環と杉山くんの一部始終を見てたのよ、私」

「う、うん…」

「最初、たまたま手が当たって
『手がめちゃくちゃ冷たいよ』
って言っただけなのに、淳くん私の説教どころじゃなくなっちゃって。
杉山くんが環の手を握った時は、めちゃくちゃ恐かったんだから〜」

「こ、恐い?」

それは淳之介らしくない言葉だ。
だっていつも優しい表情しかしない。

美由紀に説教する時でさえ、優しさが残っているのだ。

「睨みつけて、間に割って入ろうとしていたの」

うそっ !!

「ほ、本当に?」

< 163 / 278 >

この作品をシェア

pagetop