掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
4年半の月日 side淳之介
終礼を終え、職員室に戻るとスマホにメッセージを受信していることに気づいた。

環と……拓郎!?

たまたま二人のメッセージが同時期に入っただけなのだが、高校以来ないことなので驚いた。
とりあえず環を優先でタップした。

《今から行ってもいい?》

《駅に着いちゃった
まだ帰れそうにない?》

《暑いから、マンションで待ってるね》

1つ目を受信したのは正午になる直前だ。

その20分後に2件目。
それから1分後に3件目。
ほとんど間がない。

《マンションで待ってるね》

何かあったのか?
環が自ら俺のマンションの鍵を使って待っているなんて、初めてのことだ。

合鍵を渡したのは4年半前。
それから1度も使われたことはない。

いつでも来てくれていいと、ちゃんと伝えて渡した。
それでも使われたことがなかったというのは、それが俺と環の距離だと思っていた。

環は常に俺との関係に一線を引いている。

おそらくそれは一番好きな人ではないからだ。

拓郎のことはもう忘れたとしても、だから俺が一番になれるかと言ったらそうではないんだ。

本命が居なくても、二番目のポジションなんじゃないかと思う。

それでもいいと思って、ずっと傍に居た。一番傍に居られたら、それで良かったから……。
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