掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
拓郎の言葉に驚いた顔をした瞬間、環が泣き出した。

アイツっ!! 何を言ったんだ!?
ひょっとして、結婚報告か?

泣き出した環を放っておけなくて、俺は店に乗り込んで行った。


◇◇


「やっぱり、お前達っていいよなー」

「はぁ?」

「なんか、帰ってきたって気がする」

「何を言ってる?
……ここだ、俺のマンション」

「駅近だな、いい立地じゃないか」

「立地はな。けどもう7年目になるし、そろそろ……」

いや、それは俺の心の中だけの話だった。
いずれ環と一緒に暮らすなら……
そんな想像をしていただけ。

しかし、コイツまたデカくなったのか? エレベーターが窮屈に感じるな…

玄関に入ってしまってから気づいた。

そこら中に環の私物がある。

玄関には水色のもこっとしたスリッパも…
環が好きそうだからと、俺が買ってきたものだ。

「……お、おい、俺、お邪魔していいのか?」

拓郎が遠慮がちに聞いてくる。
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