掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「え? い、いや…」

「どうしたの?
蚊が入るから早く閉めたいんだけど」

「「あ、ああ……」」

一番後ろに居た環に中へ追いやられ、俺たちは気まずい思いをしながら中へ入った。

拓郎には客用のスリッパを出す。

「へぇ……突然来たのに綺麗にしてるんだな。ヤギボーか、これ俺の部屋にもあるぞ。便利だよな」

「ああ……」

俺の部屋には大した家具はない。

あるのはライティングデスクとローテーブル。若草色のヤギボーマックス。それに新たに買い足した赤のヤギボーミニだけ。

「淳くんは何か食べたの? 」

「え? いや、終礼終えて、すぐに帰ったから…」

「サンドイッチ買ってくれば良かったね」

「あ! ずんだ大福ならあるぞ。
ほら、土産だ」

そう言って小さな箱を渡された。

「わぁー! 美味しそう〜」

環が喜んでいる。
甘いものが好きだからな。
これは喜ぶだろう。

「麦茶でいい? 水出しアールグレイもあるけど。
ごめんねー、私相変わらずコーヒー屋の娘なのにコーヒーが苦手なの。
だからアイスコーヒー置いてなくて…」

「へ?」
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