掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「お待たせ〜」

環が素麺と玉子焼きを作ってくれた。

「……随分多くないか?」

「三人分だったらこれくらいじゃない?」

「そ、そうか……」

環はさっきも食べていたように思うが……。

まあでも、一人だけ食べないのもな。
皆で食べられた方がいい。

ところが、形だけ食べるふりをするのかと思いきや、環は異常な食欲を見せた。

そんなにお腹が減っていたのか?

ゆがいた素麺の半分は環のお腹に収まったようだ。

「……」
「……」

これが高校時代なら、確実に拓郎は言っただろう。

「環、お前食べ過ぎだろ?
そんなに食べたら太るぞ」

と。
でも俺達はもう大人だ。
さすがの拓郎も、驚きはしていたが何も言わなかった。

「……さっきの話の続きなんだけどな」

「ああ、そうだった。
菊岡さんの後任になるってことだな?」

「後任なんておこがましいものじゃないよ。ただ、未来科学館は来年転機を迎える」

「……」

「転機?」
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