掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「……もうただの“星バカ”じゃないな」

まだ泣いている環の頭を撫でてやる。

「あと、もう一つ報告があるんだ」

「……なに」

「論文がアクセプトされた。
……………『Nature』に」

「……」
「……」

Nature?
それって……

「「ええぇぇぇーーーーっ!!!」」

「お、驚くよな?」

「あ、あの『Nature』よね?
イギリスの最高峰の権威ある雑誌の……」

「おう……それだ」

拓郎が照れくさそうにしている。
しかしこれは本当に凄い事だ。

「拓郎……お前本気ですごいな!」

「うん……サンキュ…
で、その論文なんだが、K大とオクスフォードとの共同研究だったんだ。
まだずっと研究は続いていて、マスター課程修了後は、K大に移って研究を続けることになったんだ。
春からK大の博士課程に進む。
未来科学館と2足のわらじだな。
未来科学館には話をつけてあって、いずれオクスフォードにも行くことになるだろう」

「す、スゴすぎる…」

さっきまで泣いていた環だが、今度は驚きすぎて目をパチパチしている。
……可愛いな。
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