掴んだその手を離さないで！ 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「フッ……拓郎がすごい報告ばかりするから、環が泣き止んだな」

「ちょっと……頭がついていけないところまで話が飛んじゃったから」

確かにその気持ちはわかる。

拓郎が環を優しい目で見ていた。

「さっきのことだけど……」

「……？」

「俺が全く連絡しなかった理由」

「……」
「……」

「俺さ、大学に入学してすぐの頃、酷いホームシックにかかって」

「は？」

それから突然拓郎が語り出したのは、意外な話だった。

大学入学後、大学に馴染めず、不登校になりがちだったと。

初めての一人暮らしで友達も出来ず、慣れない環境に押しつぶされそうになっていたのだ。

そこで、俺や環に連絡してしまったら大阪に逃げ帰ってしまうかもしれない。

みんなの期待を胸にここへやって来てるのに……｡

それだけは出来ないと、拓郎は最初のゴールデンウィークも大阪には帰らず、仙台でアルバイトを掛け持ちしながら耐えていたそうだ。
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