掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「……拓郎、大阪に帰ってくるのはわかったけど、彼女はいいの?
あっちに置いてきちゃったの?」



まさか、その話を環が自ら出すとは思わなかったので、思わず動揺しそうになったが何とか堪えた。

「……なんで…」

拓郎が俺を見る。
確かにメッセージで女の存在を知らされたのは俺だけど、告げ口したわけでは…

ところが、俺が反応する前に環が答えた。

「拓郎がね、成人式で帰ってきた時、聞こえちゃったの。立ち聞きするつもりなかったんだけどね。
……ナツミさん、だよね?」

「あ、ああ……。
そっか、知ってたのか。
夏美は今留学している。ハワイ大学だ」

「「ハワイ大学!?」」

「ハワイ大学に留学するのは彼女の夢だったからな。もう一年以上会ってないよ」

「ワ、ワールドワイドなカップル……」

「まあ、そうだな……。
研究者同士だと、お互い夢ありきだから、共にいられる時間は少ないんだ。
でもあいつが頑張っていると思うと、俺も頑張れる」

「そっか……。
ちょっと寂しいけど、良かったね。
いい人に出会えて」

「ああ、ありがとう」

拓郎の恋愛
環の発言

そうか。
ここにも4年半の月日があるんだ。
二人の会話を聴きながら、時が経ったのを感じた。

環はもう、乗り越えてる?
俺との未来を考えてくれてる?


< 193 / 278 >

この作品をシェア

pagetop