掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「こっちー」

「え」

気づくと私は小さな手に右手を掴まれていた。

「ぶりゃんこ」

私の手を引きながら、何かに向かって歩いている。

鈴?
いえ、鈴はまだこんなに大きくない。

突然待ちきれなくなったかのように、駆け出す女の子。

「あ、待って…」

女の子はブランコにたどり着く。

ここ、公園……?

どうやら女の子の目的はブランコのようだ。
小さい子向けの滑り止め付ブランコ。
果敢に1人で登ろうとするが、鎖が揺れているので上手くいかない。
何より、あの身長では届かない。

意志の強そうな目。小さいのに整った彫りの深い顔立ち。
誰かに似てる?

諦められなくて何度もトライしているが、そのうち泣き出した。

あらら、見てばかりじゃなくて乗せてあげないとね。
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