掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
そんな息子に気づいた母親が、投稿サイトを勧めてくれたのだ。

「せっかく書いたんなら出してみれば?」

正直に言うと、賞自体にはあまり興味がなかったし、まあ無理だろう、と思っていた。

自分の楽しみのためだけに書いたんだから、他人が読んで面白いと感じるとは限らない。

しかし、賞金には惹かれた。
高校生の俺からしたら、とんでもない大金だった。だから出してみることにしたのだ。

それがまさかの大賞受賞!
驚いたなんてものじゃない。

しかも作品は、書籍化され爆発的にヒット。
2冊目、3冊目も出版されシリーズ化されることになったのだ。

そして、その人物設定も読者にはウケたようだ。かの映画化されたイギリスのファンタジー小説と同じで、モテない男の市民権を得たのかもしれない。

いや、これは俺の勝手な見解だけど。

俺の小説も、最終的にはパッとしない男と可愛い幼馴染の女の子がくっつくところは同じだから。

……単なる作者の欲望でしかない。
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