掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
図書館棟の先生か。
本好きの環にはピッタリの仕事だ。

たまに母親からの知らせで、地元の情報が入ってきていた。

寂しいとは思うが、環や淳之介と連絡を取らなくなったのは俺自身なんだから仕方ない。

すっかり大人の女性になった環と、一体何の話をすればいいのか……。

俺たちはしばし無言になった。

いや、ダメだ。
もう逃げるのはやめるんだ。
そう決心して大阪に帰ってきたのだから……。


「環、今暇か?」

「え?」

「淳が帰ってくるまで、付き合ってくれないか?」

そう言って、駅前のテリーズを指した。

「う、うん………いいけど」

環が今どんな生活をして、誰と付き合っているのかもわからない。
どんな会話をすればいいのかも。

この誘いは無謀だったか?



初恋の人を相手に……。




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