掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
《元気だよー! 生徒会も引き継ぎが終わって、図書館棟に入り浸りの日々。そっちはどう?
拓郎ならすぐにお友達も出来て、楽しい大学生活なんだろうなー。
頑張ってね! 淳くんとこっちからパワーを送るよ!》

このメッセージの後に、環の好きなウーパールーパーがパワーを送っているスタンプが送られてきた。

応援……。
そっか、こんなに期待されているのに、弱音は吐けないか。

二人に見放されたわけではなかったのに、その時の俺の精神状態は歪んでいて、素直に受け取ることが出来なかった。

帰りたい。
でも帰ることは出来ない。
二人を失望させるかもしれない。
こんなに俺に、環はなんの魅力も感じないだろうな……。

大学の授業もサボりがちになり、暇な時間をバイトで埋めていた。

接客のバイトは一期一会だ。
人間関係を築く必要がないから気が楽だった。

親からは再三帰れと連絡があったが、俺は意地になっていた。

絶対に帰らない。
今帰ったら負けだ!

何のために大学に通っているのかわからない状況で、ただただバイト生活を続けていた。
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