掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
大阪にいる環を忘れたわけではなかった。ただ、環への気持ちと、夏美への気持ちは全く違った。

夏美は何もかもを共有出来る唯一無二の存在で、環はずっと幼い頃を共に過ごした可愛い存在。そして思い出すと、胸が少し締め付けられる、そんな存在だった。
おそらく人はそれを初恋というのだろう。

一度、夏美に言ったことがある。
初めて会った時に幼馴染に似ていて驚いた、と。

ただ事実だけを言ったつもりだったのに、夏美はすぐに勘づいたようだった。環が初恋の女だと……。

でも俺にとって、もう環は過去になっていた。
夏美だけを愛してるのだと、その時伝えて俺たちは結ばれたのだ。

「成人式だけは帰って来い!」

そう親から連絡があったのは、2年の年末の事だった。
結局、2年近く大阪に帰っていない。

淳之介や環とも連絡さえ取らなくなっていた。

勇気をだして久しぶりに淳之介にメッセージを送ってみた。
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