掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
《成人式は帰るよ》

《お前やっとか! 待ってるぞ!》

なんだ……普通だ。

2年離れていたメッセージのやりとりじゃないよな。

俺は妙に安心した。
そして帰るのが楽しみになった。

そんな俺の帰省を夏美は寂しそうに見送ってくれた。

「幼馴染に会うんだ…」

「俺は幼稚園から高校までの一貫校に通っていたから、同級生みんな幼馴染みたいなものなんだが…」

「……そう。帰ってくるよね?」

「当たり前だ。俺の居場所はもうここなんだから。3日後に帰る。待ってろ」

不安になってくれる夏美を可愛いと思いながら俺は帰省した。

久しぶりに会った淳之介と環。

二人は何も変わっていなかった。
ああ、ここにも俺の居場所があったんだ……そう思った。

そしてそれは予想以上に居心地がよく、一瞬、このまま大阪に残りたい……そう思わせる程の居心地の良さ、そして郷愁の念があった。

この誘惑に負けてはいけない。
俺には研究がある。それに待っていてくれる人もいるんだ。

そんな思いで夜明け前、夏美に電話をした。案の定、彼女は寝ていなかった。
観測をしていたというが、俺からの連絡を待っていたのだろう。

彼女を安心させたかった。
そして、この誘惑の地から再び離れないと! ……そう思った。

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