掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「それで、今日はなんだ?」

「ああ、取材……させて欲しくて」

「取材? どの店舗?」

「なるべく大きな店舗がいいんだ」

「……じゃあ、うちか」

「うん。出来れば真くんの Castello Aを見学させて欲しい。邪魔にならないようにするから」

Castello Aとは、大阪城内のJO-TERRACE OSAKAに新しくオープンした朝倉コーヒーの大規模カフェだ。

この秋にオープンし、真くんが初めて店長を任された店で、開店初日から多くの観光客や地元の朝倉コーヒーのファンで賑わいを見せている。

「今度はカフェの話か?」

「うん。ちょっと癒し系の短編を書いてみようと思って」

「そりゃ、しっかりうちの宣伝もしてもらわないとな。
それに、短編って言ってもどうせまたシリーズ化されるんだろう?」

「それは分からないけど……多分オムニバスにはなると思う」

「桜田じゅんは超売れっ子作家だもんな」

「そ、そんな大したことないよ」

そういう賛辞は苦手だからやめてほしい。
それに母親に比べたらまだまだだ。

「俺が入ってる時ならいつでもOKだ」

「ありがとう! こっちは研修日が水曜だから、水曜日になると思う」

「わかった。また連絡しろ」


◇◇
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