掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
取材をお願いしていた日、延期して欲しいと連絡が来た。
どうやら予定日より早く産気づいたらしい。

そして朝倉真、撫子夫妻に待望の第1子が誕生した。
朝倉 寛(あさくら かん)くんだ。

俺と環も退院後すぐに顔を見に行くことにした。

「ナコちゃんおめでとう〜」

「ありがとう〜
びっくりするくらい早く産まれちゃって、あっという間の出産だったわ」

「陣痛から2時間だったのよね?
羨ましい〜!」

「肝が冷えた……。
朝、お腹が痛いって起きてきて、間隔を測ったら10分切ってた。
慌てて病院に連れていったらすぐに分娩室だ。何が起こったのかわからなかったよ……」

真くんが引きつっていた。

たしかにその状況じゃ、俺もきっと焦るだろうな。

「わぁ〜〜!! 可愛い〜〜!!」

「可愛いな。丸顔が…」

「淳くん言わないで。
もう! 男の子なのに冗談みたいに丸いのよ…」

「撫子にそっくりだろ? この輪郭」

たしかに義姉にそっくりの丸顔男子だった。
しかし、義兄はとても幸せそうに赤ちゃんを抱っこしていた。

ああ、俺も早くこの腕に我が子を抱きたい。

義兄夫婦の幸せを目の当たりにしてそう思うのだった。



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