掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「倉田さんの旦那様ですね?
担当助産師の辻です。
今、破水しているので赤ちゃんがバイ菌に感染しないための抗生剤の点滴をしています。子宮口の方はまだ1cm未満ですね。陣痛の感覚も10分から変わらないので、今のうちに少し食べて体力をつけておいてください。
すぐにお昼ご飯が運ばれてきますので」

「は、はい!
あ、よろしくお願いします!」

「初産ですものね、お父さんも頑張りましょうね」

母親世代のベテラン助産師が担当のようだ。
良かった。頼もしい感じの人だ。

「隣、美由紀なんだって?」

「そうなのよ。
美由紀の方が先に入ってて、私達は会えてないんだけど、お母さんから聞いたの?」

「今、公親先生に会ったよ。
誕生日同じ日になりそうだなって」

「元々予定日が3日しか変わらなかったから、同じ日になるかもねーって言ってたの。
まさか本当に重なると思わなかったけど」

「それで、環は本当に大丈夫なのか?
1人の時に破水して驚いただろう?」

「うん……突然何か流れてきたからびっくりしたけど、破水ってすぐにわかった。
でもまだまだみたいだよ?
初産だと、破水してもなかなか進まないって助産師さんが言ってた」
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