掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「ひょっとして追い出された?」

「……まあそんな感じです。
食べて来いって」

「同じだな」

俺たちは待合室に向かって歩き出した。

待合室はちょっと大変な騒ぎだった。

母親が4人……

愛先生にうちの母親。
乾校長の奥さんに、美由紀の母親。

その横で義父が1人、居心地悪そうにしていた。

「私、あのドラマ化された作品は本っ当に騙されたわ〜。まさかあの人が犯人だったなんて!」

「私も!」

「あら、でもプロローグに伏線がありましたよ?」

「愛先生、あれでわかったの!?」

「なんとなく?……ピンときたんですよ。
結構当たるんです」

「やだ、愛先生にバレちゃってたのね〜。
伏線をいかにバレないようにするかがポイントなんだけどね」

……どうやら孫の誕生はそっちのけで、三田倉子の作品で盛り上がっているようだ。

俺は義父を誘って男三人で定食屋に入ることにした。
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