掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
そこでふと思ったのだ。
淳之介にお相手は出来ないのだろうか。

「ねぇ、淳くんはさ、誰とも付き合わないの?」

思わず聞いてしまった。

拓郎は背が高く、ワイルド系のイケメン。
いつもパワフルで、カリスマ性があって、人の中心いるタイプだ。

淳之介は全く雰囲気が違うけど、そこそこ背も高く、彫りの深い甘いマスクの優しい顔立ちだ。
『猫』を歌っているバンドのボーカルにそっくりだとよく言われている。

それに、眼鏡をかけていると、さらに魅力が増すのよね
モテるはずなのよ。

なのに、どうして今まで浮いた話がないのか、ずっと不思議に思っていた。

「……俺は、本気で好きになった子としか付き合わない。
それに……環、何か忘れてない?」

え?

「俺がいい加減な付き合いは出来ないって、忘れてない?」

「…あ」

「まあ、同じ信者でも、遊んでるやつはいると思う。いわゆる慎重派?
けど、俺はちょっと…」

「えっと……ごめん。
忘れてたわけじゃないんだけど。
…………そっか。そうだったね…」

淳之介は敬虔なカトリック信者だ。
離婚は許されない。
だからこそ、真面目に交際を考えている。
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