掴んだその手を離さないで！ 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜

ただ、今淳之介が言ったように、信者には２つのパターンがあるのよね。

ひとりの人と真面目にお付き合いして、そのまま結婚する正統派か。

もしくは離婚は出来ないんだからと、自分に『より合う人を探す』という大義名分のもと、たくさんの人とお付き合いする慎重派。

慎重派って聞こえはいいけど、実際は遊び人。
淳之介にはその考えはないってことね。

「俺、好奇心では付き合えないよ」

「好奇心…」

それって、拓郎のこと？

「それに、ちゃんと好きな人はいるから」

「え」

「ずーっと、ただ1人だけを想ってる」

「……」

ずーっと？
ただ1人？

ああ……そっか。
美由紀のことか。

淳之介と私の親友である美由紀は家が隣同士の幼馴染だ。
生まれた時からの付き合い。

美由紀と一緒にいる時の淳之介はとても自然体で、好きなことが言い合える仲だ。

美由紀はとっても可愛いし、淳之介とだったらお似合いだわ。

「今年も浴衣着るの？」

「え？」

突然話が飛んだ。

でも、変な話になっちゃってたからいいか。

「うん！ もちろんだよ。
女子の夏祭りの楽しみは浴衣に決まってるじゃない！
今年はね、お母さんが桐野屋呉服店で新しい浴衣を新調してくれたの」