掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「へぇ、それは楽しみだな。
泉ちゃんも?」

「うん! お姉ちゃんの浴衣は向日葵色の……
ダメじゃん。あとの楽しみがなくなっちゃう」

淳之介も拓郎も、昔から姉に憧れている。

でも、お姉ちゃんにはお付き合いこそしていないけれど、相思相愛のお相手がいる。

生まれた時からの幼馴染の長谷川京くんだ。

あの二人はいずれ結婚にまで結びつくだろうから、淳之介には出番がない。

もちろん、それは淳之介もわかっていることだ。

だから、憧れというだけであって“好き”というわけではないと思う。

さっき聞いた通り、淳之介には本気で好きな人がいる訳だから…

「そうだな。
3人の浴衣姿、楽しみにしてるよ。
真くんや京くんに写真を撮ってこいって言われそうだしな。
俺、今日はボディーガード兼カメラマンだな」

「……うん」

淳之介は優しい。
ちゃんと義理を果たそうとする。



私たちは図書館棟の中で分かれ、閉館時間まで個々にすごした。

きっと、生徒会室でのカップルのやり取りも結論が出ていることだろう。





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