掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「……わかったよ」

「鳥居の前で写真を撮るよ。
3人とも並んで?」

淳くんがスマホを横に構えている。

「淳くん、それ、真に頼まれたの?
それとも京?」

「どっちもに決まってるじゃない。
俺、10分置きくらいに写真送らないとあとが怖いんだけど」

「あははは!
泉、いつものことじゃない。
二人とも、過保護だからね〜。
よし、じゃあ行こっか!」

金魚すくいにヨーヨー釣り。
大きな綿菓子をみんなで分け合って、本殿まで進んでいく。

社務所の横に設けられた野外ステージでは、氏子のおばあちゃま方が、お琴や三味線やフラダンスの発表会を行っている。最後はおじいちゃま方の和太鼓で締めくくり。

毎年おなじ。見慣れた風景だ。

「お参りしよ?」

姉が皆に声をかけた。

鳥居の前で姉に牽制された拓郎は、最初こそブスっとしていたけれど、金魚を誰よりも多く掬って大満足したようで、今では淳之介といつものようにじゃれあっている。
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