掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
図書館棟
「……先生? 環先生?」

「え?…………あっ、返却?」

ボーッとしている場合じゃなかったわ。
仕事中なのに。

「環先生、違いますよ。なにボーッとしてるんですか。私、図書委員ですよ。
返却後の本、書架に並べてきました」

「あ、ありがとう」

「今日はもう上がりますね。
……ここの入口にあったポスター、新しいのに変わったんですね」

「え?……そ、そうね。
未来科学館から来月の投影分が届いたの。
あ、招待券もあるわよ。
限定30名分。お友達に言っておいて?
学園のホームページにも出しておくから」

彼女は高等部1年の多田さん。
本が好きで、図書委員をしている。

「抽選?」

「先着順」

「えぇ! じゃあ、2枚。2枚ください!」

「……ふふふ…デート?」

「もっちろん! 七夕にプラネタリウムなんて、ロマンチックでしょ?」

「たしかに」

そうね、昔から七夕のプラネタリウムは平日でも満席だった。

「はい。これね」

「ありがとうございます! 」

「これは招待券だから、プラネタリウムを見る当日に、この招待券を券売さんで時間指定のチケットに交換してね。
この招待券だけでは見ることが出来ないから気をつけて」

「はーい!」

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