掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
俺にだってわかってる。

好き勝手やってる俺に合う女なんていない。

咲希のように、最初は大人しくしていても、だんだん痺れを切らして、俺を振り向かせるために束縛を強めてくる。苛立って人の悪口を言うような醜態を晒して。
……でも多分それが普通なんだ。

「どこかに、自由な俺を受け入れて、それでもうるさいこと言わない女っていないかなー」

「……いるだろ」

「え?」

「いや……いい。
それにしても、環、遅くないか?」

「ああ、たしかに」

学園はもう夏休みに入っている。
登校しているのは部活のある生徒くらいだ。

生徒会も、執行役員だけが登校していて、一般役員は夏休み中2回しか登校することはない。

だから今日は俺と淳之介と環の三人だけなのだ。

環が行くところは限られていて、生徒会室か聖歌隊の隊室か、図書館棟くらいだろう。

だが今日は聖歌隊の練習日でもないし。
なら図書館棟か?

そう思っていたら、環がやってきた。

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