掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「ちょっと聞いてくる」

「あ、ああ……」

淳之介が環の後を追った。
こういう時はやっぱり淳之介なのだ。
あいつは絶妙に聞き出すのが上手い。

年の離れた兄はいるが、ほぼ一人っ子のように育った俺と違って、幼い弟妹がいるからだろうか。淳之介は面倒見がいいんだよな。

しばらくして、淳之介だけが戻ってきた。

「あれ? 環は?」

「部室回ってるよ。さっき言ってたじゃないか。Tシャツの期限が今日までだからな」

「……そうか。
で? さっきの、なんだったんだ?」

「ああ、告白されたんだって」

「告白!?」

「同じ1年生だけど、高校組のやつだったみたい」

『高校組』

うちの学校は、幼稚園から高校までの一貫教育校だ。俺達も皆、幼稚園から入園していて、高校を卒業するまでほとんどメンバーが変わらない。

ところが、高校から1クラス分だけ生徒を募集することになっていて、そこで入学した生徒を高校組と言っている。

元々偏差値の高い学園なので、高校から入ってくる生徒たちの偏差値はさらに高く、優秀な生徒が多い。
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