掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「正門を入ったところで、声をかけられたって」

「……」

「どうやら美由紀が絡んでるようだ」

「はぁ? 美由紀?」

美由紀とは田中美由紀(たなかみゆき)。
環の親友で、淳之介にとっては隣家に住む妹のような存在だ。

「ああ。そいつ、陸上部らしい。
環が美由紀に差し入れをよく持っていくだろう? その時に環に一目惚れしたらしい」

「一目惚れ!?
環に? ……ありえん。環だぞ?」

「お前……何気に失礼だな。
環だって一目惚れくらいされるだろうよ。
あんなに可愛いんだぞ?」

「ちょっと待て、お前今なんて言った!?」

「環は可愛いよ。誰よりも美人だ」

「……お前、どうかしたのか?
あいつ、この前までプラネタリウムが怖い怖いって泣いてたガキだぞ?」

「それいつの話だよ……」

「泉ならまだしも、環は女に見えん」
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