掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
そして今……。

自宅に帰ってまた今日の出来事を思い返し、大事なことに気がついた。

「環はなんて答えたんだ?」

告白を受けて、顔を真っ赤にしていた環。
あれは受け入れたからか?
それとも、保留?
いや、そんな大してよく知りもしないやつに、即答でOKは出さないだろう。

そいつ、イケメンか?

陸上部なら、爽やかな野郎ではあるだろう。
それに、高校組なら偏差値も高いはず。

条件を挙げたら…………断らない?

くそっ!
環が帰ってくるのがもう少し遅かったら
淳之介に聞けたのに。

だからと言って、わざわざ淳之介に連絡を取ってまで事の顛末を聞く気にはなれなかった。

……日曜日の天文サークルで聞くか。

俺は未来科学館の天文サークルに所属している。この天文サークルは、俺の尊敬する主任学芸員の菊岡さんが作ったサークルだ。

もう小さい頃から入り浸りなので、学芸員全員と顔見知りだし、今やサークルでは、まとめる方の立場にある。

その天文サークルの7月の集いがこの土日にある。

未来科学館の屋上にテントを立て、望遠鏡で夜通し空を見上げるのだ。

環もいつも参加している。
淳之介は弟妹を映画に連れていくため、今回は欠席。

『お前が大切に思っていることだから、同じように大切に思ってくれているんじゃないのか?』

……そうなのか?

今まで、二人も星好きだと信じて疑ったことがなかった。

俺は何か大切なことを見逃しているのだろうか……。
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