掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜

モヤモヤする side拓郎

結局聞き出せたのは
『友達から』ということだけ。
しかも話している最中に、その『友達』からメッセージが。

その後戻ってきた環は佳代子さんにベッタリだ。

まあそれはいつもの事だが……。

モヤモヤした気持ちも、夜空を見上げれば吹っ飛ぶ……のがいつもの俺のパターンなのに、何故だが今日ばかりは吹っ飛ばない。

なんなんだよ、全く。
せっかくの天体観測会なのに、心から楽しんでいない俺がいる。
こんなのは俺らしくない。

「拓郎くん、今日はどうしたんだい?」

「川原さん……」

「いつも通り、さすがの豊富な知識だけど、なんとなくイラついてる?」

「……すみません。
そんなつもりはなかったんですけど…」

そんなに出てたか、態度に?

「いやいや、まあ普通はわからないだろうね。
私は長年教師をしてきたからね。
なんとなく若い子が悩んでいる時はわかるんだよ。
今日は淳之介くんはどうしたんだい?」

「あ、淳は明日弟妹を映画に連れていく約束をしているんです。
あいつの弟妹、まだ小学校の低学年なんですよ」

「そうか……いいお兄さんなんだね。
でも、それじゃ相談も出来ないと…」
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