掴んだその手を離さないで！ 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜

早朝から学園の外に出来ていた初回の整理券の列に並び、川原夫妻と、なんと拓郎の師匠である菊岡さんまで来てくださった。

「拓郎の大舞台だ。見逃せないだろう？
今日は午前休を取ったよ」

「菊岡さん!! ……ありがとうございます！」

「僕達も、楽しみにしていたんだ。
拓郎くんの解説員デビュー、観させてもらうよ」

「川原さんまで……緊張するな。
嬉しいです。ありがとうございます！」

こうして、たくさんの人の期待を受けて、拓郎は解説員デビューを果たした。

私はもちろん、初回スタッフとして淳之介と共に小聖堂に入っていた。

『聖堂館学園小聖堂シアターへようこそ。本日の夜空を解説させていただきます、真野拓郎です。
30分という短い夜空の旅ですが、皆さんに楽しんでいただける旅にしたいと思います。
では本日午後6時頃の学園から見上げた夜空です。太陽は間もなく西へと沈みます。
夏至を過ぎて2ヶ月と少し。
徐々に日の入りが早くなってきましたね……』

さすが拓郎。
とっても順調な滑り出しだ。

もう何度も聞かされたもんね。
拓郎の部屋で、いつも3人一緒だった。

そんな幼い頃の思い出が蘇る。



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