掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「……ほら、もう泣きやめ、な?」

そっとハンカチを渡してくれる。

「無理ぃ〜〜」

「……さすがにブサイクになるぞ?」

「……意地悪」

「お、泣き止んだか?」

「淳くん…?」

「ん?」

「ありがとう……」

「先に庇ってくれたのは環だ。
それに、俺は本当のことしか言わない」

「……淳くんに想われている子は幸せだね」

「……」

「ちょっと、元気でた」

「……そうか。
よし! じゃあ、一足先にお昼ご飯でも食べよう」

そう言って、先に立ち上がった淳之介が手を差し出してくれる。
いつも私を励ましてくれる優しい手だ。
私はその手を掴んで立ち上がる。

「うん。1年C組の魯肉飯が食べたい」

「お! 気が合うな。
あれは俺も狙ってたんだ。
品切れになる前に行くぞ!」



淳之介が魯肉飯を奢ってくれた。
プラネタリウムに気を取られて、すっかり文化祭を楽しむことを忘れていた。

生徒会には属しているけど、みんなと同じように楽しめないわけではないのだ。

そんな当然のことを忘れていた。
< 85 / 278 >

この作品をシェア

pagetop