掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
突然告白してきた陸上部の野郎みたいに、彼女を意識している男子生徒は多くいたと思う。

拓郎にとってただの幼馴染だった環が、他の男からは恋愛対象に映っているということが、目を覚ますキッカケになったのは間違いない。

拓郎はやっと環を女として意識しだしたのだ。

俺はそれで良かった。
それが環の望んでいることだからだ。

ただ、受験勉強中はさすがにそんな色恋沙汰にはなれず、合格後は付き合う付き合わないといった雰囲気になるには、圧倒的に時間が足りなかった。
引越し準備に、天文サークルの引き継ぎ、拓郎には他にやるべき事が多過ぎたのだ。

こうして、二人の仲は進展することなく、距離が離れてしまった。


◇◇
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