君と誓の約束を

「まぁ俺のことはいいじゃん。それからさ、名前で呼んでほしいな」

「名前で……?」

「ダメかな?」


男子を名前で呼ぶことなんて、高校生になってから一度もない。

みんな幼馴染みとかじゃなければ、大体が名字だからなぁ……。

名前だから、りゅうとくん、だよね。


「いいよ」


別に断る理由も特にないもんね。


「ありがとう、はるちゃん」


…………え?


「はるちゃんって、私?」

「そうだよ?はるりだから、はるちゃん!」


さっきの微笑みとはまた違って、今度はいたずらっ子のような笑みを浮かべている。

心臓の鼓動なんてさっきは聞こえなかったのに、今ははっきりと聞こえてくる。

しかも、少し速くなっている。

ドキドキしていて、私が彼を意識していることに気づいてしまった。


…………恋?


いやいや、恋じゃないでしょ。

多分、緊張しているからだよ。

ほら、一瞬の笑顔でドキッみたいな錯覚だよ、きっと。


「顔色、だいぶ良くなってきたね」


あれ、もうお腹が痛くない……?

話すことに集中してたから気が紛れたのかな。

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